2013/03/28

知識というフィルター。

知識とはフィルターだ。
そのサングラスをかけることで物事がハッキリ見えてくる。
しかし偏光されることで見えなくなる物事もある。

タック アンドレスさんのギタースタイルを長く研究し、
ずいぶんたくさんの知識を積み重ねてきた。
グルーヴィでリズミカルな演奏はパーカッシブなサウンドを付加することで生まれるということを発見し、
それが可能になる右手のテクニックを身につけて理解してきた。
タックさんの演奏を分析するときも、聞こえてくるパーカッシブなサウンドが
狙って行っているものだと解釈するようにし、
そのおかげで素晴らしいコンセプトをたくさん発見することができた。
それが自分の今の演奏に役立っていて、よりTuck Andress Likeな演奏が可能になった。
僕の知識というサングラスは多いに役に立っている。

昨夜、楽屋で質問をした。
「このパートでパーカッシブサウンドをを付加するためにこういう動きをしてるんですか?」
タックさん曰く、
「Ummh. I don't know. Let me check !」
考え込みながらしばし演奏するタックさん。
「Ocasionally, It was happen sometimes maybe.
But I didn't realize what I am doing. It's interesting !」

実は、そうじゃないかなと僕も少し感じていたのでこの質問をしたのだが、
僕もタックさんのコンセプトを自分の知識のフィルターによって偏光しているかもしれない。
パーカッシブサウンドありきの演奏をしていると。
昨日の質問はそのサングラスをはずすキッカケになった。
タックさんの今の演奏はパーカッシブサウンド主体ではない。
どうメロディアスにギターを演奏し鳴らし、パーカッシブサウンドを最小限化するかが命題だ。
しかもGrooveをContainしながら。

その考えの中から生まれているあの演奏で立ち上がってくるパーカッシブサウンドは、
「Ocasionally Happen」と呼ぶべき偶然の産物なのだ。
今日から僕もパーカッシブなサウンドを分析の対象にいれずに実験してみようと思う。
自分の知識のサングラスを外して、今一度純粋にタック&パティの音楽と向き合ってみよう。
今夜のブルーノートが今から楽しみだ。