2013/03/27

進化は現場でおこっている。

ライブ前のサウンドチェック。
タック&パティのおふたりはとうとう全ての音階を周波数で捉え、
整数倍でない周波数でエンジニアの方に指示を出し、
かつてないほど正確無比なサウンドチェックをなさるに至っていた。
昨日はそれをみて衝撃だった。
「この人たちはどこまで進化するのか!」
その凄さに圧倒されて心拍数があがった。

オーディエンスが聞くメインスピーカーサウンドをチェックするというだけでも、
普通のミュージシャンの常識を覆したすごい行いだ。
タック&パティさんの持つエンジニアリング能力と、ステージモニターを排し、
インイヤーモニターにして自分達専用のサウンドが完成しているおふたりにしか
できない芸当で、そのこだわりのレベルは半端ではない。

これまでライブハウスに設置されていた音色補正の機器はGraphic Equalizerだった。
あらかじめ設定してあるいくつかの周波数しか補正することはできない。
周波数補正できるポイントは1オクターブの中に3ポイントしかない。
英語では「Three Octave EQ」と呼ぶ。
それゆえにこれまでタック&パティおふたりのサウンドチェックでは、
「125Hz, 3db down please」
「250, 300Hz, both down 1db.」
とそれらの値の周波数だけが指示されていた。

時代が進み、現在はデジタルのParametric EQが導入された。
無制限にどんな周波数でも、何チャンネルでも増やして音色補正できる。
ブルーノートやコットンクラブがその環境になってもう5年くらい経つ。
そして昨日、タック&パティさんたちは、
「211Hz, very tight curve, 1db down please.」
と普通に指示なさっていた。
もちろんその音の実体がどれであるか、その結果どういう効能が生まれるか知ってだ。
昨日のサウンドチェックは僕にとって全く新しい世界、未曽有の体験だった。

あのタック&パティが今だに学び、進化している。
その姿勢もすごいし、そして自分たちを磨く環境につねにいることもすごい。
この才能、この環境あってはじめて到達する遥かな世界。
自分もここに踏み込んでゆきたい。
そのために、やっぱり現場にいなくちゃいけないと思う。
その物事が目の前で起こっている現場に。
読んだだけでは、理解できない世界がある。