2013/07/09

レコーディングという座禅。自問自答する時間。


8/12のAcousphere Recordアーティストによるライブイベント。
その日にリリースするCD音源のマスタリング作業を毎日行っている。

各アーティストが提出してくれた音源を音色補正して、より良いものに仕上げる作業だが、
機材も環境も、ノウハウも違う状態で録音された音は実にまちまちで、
その都度、問題の解決方法が違ってくる。

「良い音とはなにか?」「良い音楽とは何か?」を自問自答している毎日。
これほど勉強になり、修練になる時間もそうそうない。
まるで「禅の修行」のようだ。

大切なのは「なぜそうするのか」ということだと思う。
全てのミックステクニックには明確に意味がある。
大事なのはエンジニアリングを行う者がそれを知っていること、
コンセプト、更にはフィロソフィーとして持っているということだ。

手順として、または知識としてテクニックを使うのは簡単だ。
しかし、全てのトラックにコンプをかければ良いものではない。
適用した方がいい時もあるし、悪いときもある。
または適用せざるを得ない場合だってある。
要は毎回作業を行うときに自問自答することだ。

今マスタリング作業をしている音源にも様々な問題がある。
その問題を解決するためにパーカッションをオーバーダブしたり、
何回も音色補正を行ったりしている。
そうやって問題と取り組んで長い時間音源と格闘した結果、
どうやらパーカッションは無い方がいいことがわかってきた。

僕のオーバーダブは徒労に終わったかもしれないが、
またひとつ大切なノウハウとフィロソフィーを得る事ができた。
そのノウハウについてはまたいずれ説明出来る時に。