2013/07/10

バークリー音楽院ではじめて弾いた「James」の想い出。


こちらの映像で演奏している楽曲「James」。
ジャズのスタンダード曲ではないし、有名なポップスでもない。
でも僕らボストン周り出身のギタリストにとっては
それがPat Methenyの作品であるということで常に憧れの対象の楽曲である。

この曲を演奏したはじめてはバークリー音楽院での発表会だった。
1年生、最初にギターラボで面倒見てくださった先生はNorman Zoccher氏。
John ScofieldとDiminished Scaleをこよなく愛し、
腰まで下がったジーンズがトレードマークのボストニアンだった。

最初の学期の成果発表会として彼はライブを用意してくれた。
いつもの教室の机を一方に積み上げて、勉強椅子を並べて客席をつくった。
観客は他のクラスの友達を僕らが声をかけて集めた。
みんな仲間がどんな演奏するのか興味津々で集まりが良く、
あっという間に狭い教室は満員御礼だった。

当時僕はベース(Chapman Stick)も弾いていたので、
最初の楽曲はベーシストとして参加した。
みんなギタリストのクラスだったからベースを弾きたい人はいない。
こんな時はいつもボランティアを買ってでた。
できるだけたくさんのセッションに参加して経験を積みたかった。

2曲目がJamesだった。
この時はNormanがベースを弾いてくれたおかげで僕もギターだ参加できた。
今おもえばそれは僕への配慮だったのかもしれない。
ギターの成果も披露したいだろう、弾きなさい、と。

僕は当時のメインだったGodin Midi Classicにギターシンセをつないだセット。
アドリブの前半はGodinのナチュラルトーンで演奏し、
後半はPat Methenyのフレージングをなるべくイメージしながら
GR Leadの音色を1オクターブペダルで上げて熱く弾きまくった。
演奏は成功し拍手喝采だった。

23歳、音楽を学びたい一心で留学した僕だったが、
ひょっとしたら演奏で身をたてられるのかもしれない、
だってこんなに喜んでもらえてるのだから、と自信を深めた瞬間。
様々なそういった感動体験が今の僕を形作っている。

そんな大切な楽曲「James」とは、あれいらい旧知の仲だ。
そしてまだまだこれからも仲良くしてゆくことになると思う。