2013/12/26

ふたつのオクターブ奏法。


先日の月曜日まで相棒の清水くんが札幌からやってきていた。
彼がくると決まってアコースフィアカフェでミーティングをする。
東京にいなかった間にビジネスにどのような変化があったのか、また今後の展望について情報を共有している。
音楽的な実験の結果やあたらしく気がついた事なども話す。
今回テーマになったのは「ふたつのオクターブ奏法」についてだった。
備忘録も兼ねて、どんな話になったかを書き記しておく。

ここ数年ぼくはWes Montgomeryを研究している。
Wesといえばオクターブ奏法だが僕はGeorge Bensonスタイルを採用していた。
人差し指と小指のコンビネーションのみで弾く弾き方で、これがWesスタイルの進化形だと考えていた。
対してWesは人差し指と中指、人差し指と小指というふたつのバリエーションを使い分けてオクターブ奏法を行っている。
今回はじめてこのふたつのオクターブ奏法の違いについて研究してみた。
具体的には何をしたかというと、BensonスタイルをやめてWesスタイルを練習し、その後おなじメロディーをふたつのスタイルで弾き比べてみた。
結果、音の出方に大きな差があるということがわかった。
Wesスタイルの方が音が大きくて暖かみがあり、Bensonスタイルよりも良い。
なぜそのような結果が出たかというと、意識している音の在り方だとわかった。
Bensonスタイルは小指を中心に意識して運指するので高い方の音がハッキリ出るが低い方の出が悪くなる。Wesは人差し指が中心になるのでフレーズの中心は低い方の音になり太いトーンが出る。
それでいて面白いのはWesスタイルでは高い方の音もBensonと同じ音量で出続け希薄にならないということだった。
比較するとWesスタイルの方が秀でているということがわかった。
Wesの系譜はBensonに引き継がれて進化し、そのあとのWes系ミュージシャンに引き継がれていると思っていたが間違いであった。
Wesの系譜はBensonの前で途絶えていて、Bensonをふまえた演奏はBensonの系譜でしかないのだ。
そしてBensonの独自の解釈でうまれたオクターブ奏法はWesのものよりも劣っている。
今一度Wes Montgomery本人の演奏に僕らは回帰しなくてはならない。

清水くんにとってもこの考えははじめてだったようで、その後本人もギターを弾きしきりにその効果を試していた。
この情報を共有することで彼の演奏がいちだんと磨きがかかることを期待したい。
自分はこれまでのBensonスタイルをリセットし、新しくWesスタイルに挑戦する。
感覚があらたまるまでには一年以上かかるだろうけれど、それだけの価値のある変化だと思う。
原点回帰とはこういう事なのかもしれない。
まだまだ原点で発見できる事は多いはずだ。
今後の人生も楽しみだ。