2015/05/23

才能。

マルカート、タテヤマユキさん。
僕が駆け出しのスタジオミュージシャンだったころ初めて受けた大きなサポート案件がマルカートさんだった。
城のようなハニーロードスタジオに招かれ、プロとしての第一歩。
気負い、演奏に集中しすぎて眩暈をおこし、誰にも感づかれないようトイレに駆け込んでグッタリしたあの日。
北海道、京都といろんな場所で一緒に演奏をさせてもらい、たくさんの経験をさせてもらった。
サポートを勇退しアーティストに専念するようになって15年。
人の音楽人生のお手伝いができなくなるほどにAcousphereは順調だったし、僕と清水君はガムシャラでハングリーだった。
インターネット革命が存在感を増し、既存の音楽ビジネスは崩壊。
新しいルールを学びニュープレイヤーとしてテーブルにつくまでに5年かかった。
そして今43歳。
ようやくまた人々と共に歩むことができるような立ち位置に還ることができた。
そんな気持ちで観に行ったマルカートさんの演奏は僕が駆け出しだったころと変わらずギタリスト泣かせなコード進行とグルーヴ、身を削って生まれてきた想いとメッセージ、美しい日本語と旋律にあふれていた。
才能という言葉はこういう人のためにあるのだろう。
いま、この人とこの音楽のために自分になにができるのであろうか。
それを考えながら走ってみよう。
自分が使命を果たせる時間は限られているのだから。